試薬のはなし1

硫酸です。硫酸。
名前は知ってる人は多いとは思うが、意外とその性質を「肌で感じて」知っている人は少ない。
そりゃ受験でも硫酸に関する項目だけで20個くらいあるからね。
とはいえ、20個くらいの関連知識を「覚えている」だけで、その薬品について知ったようになっているのは正直どうかと思う。
受験の弊害とはまさにこんなとこで、実際薬大生でも、生の薬品に触れたことが無く、エーテルで手が溶けるとか、ベンゼン吸ったら即発癌とか、濃硫酸は触れると溶けるとか、まるで薬品の性質に知識が行ってない人がテンコモリモリでうんこぶりぶりです(意味不明)。
エーテルで手溶けるとか皮膚がゴムでできていない人類であればあたりまえだし、ベンゼンは発ガン性あるものの、発癌物質の発癌率ってのは、被曝時間×被曝量であり、リスクは言う程ヤバくない。2、3回蒸気を吸い込んだくらいタバコ臭い部屋を毎日素通りするほうが絶対ヤバい。濃硫酸はたしかに乾燥した肌にふれてもいきなり焦げないけど、皮膚の水分を吸ってガンガン酸化力を増し、時間次第では猛烈に皮膚を腐食する。ちょっとくらいなら、アチチ程度の軽い火傷で済むが、本気で焼かれると驚異的に治りの悪い火傷になるので要注意だったりする。
こうした「感性」で薬品とつきあうのは個人的にすごく大事だと思うし、それが欠如しているのは当然良いとは思わない。
そんなわけで、何回かに分けて「汎用試薬」と呼ばれる頻出薬品について、生の性質をいろいろと説明していきたいと思う。
ではさっそく硫酸を試薬だなから取り出してみる。
硫酸というのはものすごく吸水性が高い。これは受験でも習うので、硫酸を乾燥剤として使うことがある・・・というのは知ってる高校生とかも多い。しかしどうやって液体の硫酸で乾燥させるのか知ってる子は少ない。まぁ本当に知らない人はデシケータでググってください。
で、硫酸は吸湿性がけっこうすごく、吸湿するということは、タンスの乾燥剤よろしく吸った水の分だけ増える。
これが結構怖くて、たまにアホタレが硫酸瓶のフタをゆるくしたまま、試薬棚に戻したりして、そのまま一夏とか過ぎてしまうと、フタのスキマからガシガシ吸湿して激増した硫酸が瓶からドバドバ溢れ、試薬棚はだいたいが金属製だから・・・・あとは分かるな。
すごいことになる。だから硫酸はちゃんと閉めないとすごく良くない。
また受験知識では「希硫酸」を作るのは、濃硫酸に水を加える・・・のではなく、水に濃硫酸をゆっくり加えて作る・・・というのがある。
この時に発熱が伴うというのもセンター試験に頻出する。
しかし、氷に濃硫酸を入れると、温度が下がるのを知ってる人は意外と少ない。けっこう意外な感じなので今度ムービーで実演してみようと思う。
硫酸といえば「溶ける!」という印象の人もいるようだが、厳密には、酸化されるわけですから「焼ける」が近い。
溶けるはむしろ水酸化ナトリウムのような強塩基の場合で、この「溶ける」に関してまとめていると終わらないので割愛するけど、映画とかで酸がぶっかかるシーンがあると、ぬろーーっとドロっと崩れる・・・というよりは、煙をあげつつ黒こげのネバネバなタールいっぱいな雰囲気になる。バイオハザード4のグロモード解禁で蟲モンスターに酸をぶっかけられて溶けて死ぬシーンとかは再現性がそこそこ高い(笑)。
しかし希硫酸程度にネズミの死骸とかポイっと入れても、実は、映画のワンシーンのようなブシャァアアア!!と溶けて消えるようなことはない。濃硫酸ならなおさら時間がかかる。 しかし、硫酸は熱を加えると俄然に危険になってくる。熱濃硫酸というのは硫酸とは思えない超酸化力を持ち、ネズミの死骸とか生き物を歩織り込むと瞬時にタール状に分解してしまう威力を持つ。
こいつもムービーで実験してみる予定なのでお楽しみに。
それでは今回はこの辺で。何回続くのかわからんコーナーだが、よろしくお楽しみに!!
(ライター:ドクタークラレ)
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