大型ガラスレーザー
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 今回は、アメリカの誇る、史上最強のレーザーについて解説してみます。
 このレーザーは核爆発を伴わずに核融合を発生させることを目標として開発されている模様で、そもそも現在実用的な核融合装置は水爆しかなく、核融合エネルギーを利用するために小型の核分裂爆弾を使って超高温超高密度を得る物です。これを核分裂エネルギーではなくレーザー光により行うのがこの装置の目的と言えそうです。

 このレーザーの心臓部はガラスレーザーで構成されているようです。
 ガラスレーザーとはガラスにレーザー媒質を混ぜ込んで作られたレーザー結晶と言えます。恐らくレーザー媒質としてドープされている元素はネオジウムであり約1064nmを発生させると思われます。ネオジウムイオンは一般的にはYAG(イットリウムアルミニウムガーネット)の結晶に混ぜられることが多いです。YAGは極めて硬度が高く簡単なことでは損傷しないためです。ビームが1cm未満ではYAGが理想的な結晶と言えますが、10cmを超える大きな直径の結晶は作りにくい難点があります。そこで大型化が容易なガラスを使い巨大化を図る訳です。レーザーの出力を高めて行くと細いビームではレーザー媒質やミラーなどの光学素子への負担が大きくなります。そのため、大型化しやすいガラスを使いビーム直径を太くして運用されます。

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 レーザーはその性質上、誘導放出による増幅が行えます。レーザーの発生原理はレーザー媒質となる結晶を合わせ鏡の間に入れて光を増幅します。少し細かく見るとレーザー媒質はフラッシュランプなどにより励起されエネルギーの高い状態になります。この状態からエネルギーの低い状態に落ちるときに特定の波長の光りを発生させます。隣り合う励起分子は一方向から入ってきた光と同じ方向に光りを発生させます。これが誘導放出と言ったところです。この原理を利用して大型のレーザー結晶にフラッシュランプやレーザーダイオードにより強力なエネルギー注入を行い、横から種火となるように同じ波長のレーザー光を入射してあげます。すると大型のレーザー結晶に蓄えられたエネルギーが誘導放出によりレーザー発振を起こし強力なレーザー光を発生させます。
 実際はこれほど簡単な仕掛けではなくパルス強度を更に上げるためにQスイッチングやモードロックと言った技術が使われているかもしれません。

・ガラス増幅器の解説
 写真にあるのは海外のレーザーマニアが何処からか調達したガラスレーザーです。
 レーザー媒質となるディスク上のガラス板が取り付けられています。ネオジウムイオンがドープされた結晶やガラスはやや薄紫色をしています。このネオジウムドープガラスを斜めに取り付け周りに強力なフラッシュランプが取り付けられています。斜めに取り付けられている理由はガラス板が光軸に対してブリュースター角となるように取り付けられます。このブリュースター角とは一方高に偏光を持ったレーザー光はブリュースター角に設置されたガラス板に対して極めて低損失で透過できるためです。これほど強力なレーザー光が若干の損失となると瞬間的に破壊されてしまいます。

●まとめ
 ガラスレーザーは極めて強力なレーザーを発生させるには有利な物と言えます。しかしながら、長所ばかりではなく短所もあります。先に述べたYAGはガーネット基質となるため極めて硬く簡単には損傷しません。一方、ガラスは柔らかく簡単に傷が付いてしまいます。表面に付いた埃や若干の傷、研磨時の研磨剤のカスなどが発熱して直ぐに駄目になってしまいます。ガラスレーザーは出荷前に濃硫酸で煮込まれたりされ、徹底的に表面の汚れが取り除かれますが、それでも壊れやすい物です。
 実際に核融合に使われる時はガラスレーザーではなく、ほかの運用が容易なレーザーとなるかもしれません。
(ライター:ポカー)
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